台所で夕食の支度をする君の背後から、そっと歩み寄る。
トントンと軽快に響いていた包丁の音が途切れた瞬間、僕は君の細いお腹にまわした両腕にぐっと力を込め、その背中を自分の胸板へと引き寄せた。
『……きゃっ、びっくりした。もう、急に何?』
驚いた君の肩が小さく跳ねる。けれど、すぐに僕の体温を感じ取ると、脱力するように背中をすっかり預けてきた。
首筋に顔をうずめると、石鹸の甘い香りと、料理の湯気が混ざり合った匂いが鼻腔をくすぐる。
僕の手はそのまま君のお腹から、薄いキャミソール越しにゆっくりと引き上がり、ふっくらとした胸の膨らみをすっぽりと包み込んだ。
『ねえ、ちょっと……手、どこ触ってるの……』
咎めるような言葉とは裏腹に、君の首筋は一瞬で鮮やかな桜色に染まっていく。
耳元で低く息を吐きかけると、君の身体がゾクゾクと小さく震えた。
「だって、後ろからだと君の表情が見えないから……触って確かめるしかないでしょ?」
そう囁きながら、キャミソールの紐をひとつ、またひとつと解いていく。
指先が直接、温かい素肌に触れるたび、君の背中がびくっきりと跳ね、小さな吐息が漏れた。
振り返ることのできないもどかしさと、背中越しに伝わる僕の鼓動。
君は包丁をそっとまな板に置くと、回された僕の腕に自分の手を重ね、指をぎゅっと絡めてきた。