錦鯉は英語で「コイ」(koi)と呼ばれています。
景気が上向きの中国やアメリカ、ヨーロッパの富豪が観賞用として、日本の錦鯉を育てるのが人気になっているため、外国でも日本名が用いられているのでしょう。
食用として考えると、今では鯉よりも鯛の方が高級で地位が高いとされているのですが、実は中世においては鯛よりも鯉の方が高級な魚とされていたのです。
吉田兼好の『徒然草』には、鯉の羹(吸い物)の話があり、天皇の御前でも料理されるものであることから、「やんごとなき魚なれ」(尊重すべき魚である)と記されています。
また、『古今著聞集』や『とはずがたり』によると、天皇の前で披露される包丁式の素材には鯉が使われていたと伝わります。
ですが、近世になって網を用いる漁法が考え出されると漁獲高も増え、流通システムも確立し、海の魚が庶民に多く食べられるようになってきます。
そこで、海水魚の鯛が多く用いられるようになり、鯉をトップの座から降ろしたのであります。
江戸時代の料理書である『料理物語』(1643年)は、すでに鯛を書の始まりに持ってきています。
すでに扱いが、この時点で変わっていることがわかるのです。
本日もよろしくお願い致します。
加勢